D-34 ルノワール「帽子の女」

帽子の女

ヨーロッパの近代絵画の中でルノワールの作品ほど、今に至るまで多くの人々に親しみ愛され続けられているのは珍しいといえます。それは、彼の描く絵が文句なしに楽しいからです。そこには人生の深みを覗き込むといったようなものは、すぐには見出せないかもしれませんが、それだけに何の抵抗もなく私達の目をなじませてくれます。彼の好んで描く女性の美しい肢体や豊かな肉体には、およそ豪奢とか権勢とかの誇りや高慢はみられず、庶民的な健康で生き生きとした生命への歓びがみられます。それに、この絵にも見られますように、帽子やドレスなどの見事な質感描写と、青と茶とそれに椅子の深紅色のバックの巧みな色彩構成などが、時代を超えて多くの人々の共感を呼ぶのでしょう。

 

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