背筋をシャキッと。(H31.1.4更新)

 今回の担当は・・・すみれです。

 

  あけましておめでとうございます。

 本年も相生市立図書館をよろしくお願い致します。

 

  平成最後のお正月が終わってしまった。

 最近よく耳にする「平成最後」のフレーズ。

 次は平成最後の節分、バレンタイン、ひな祭り、卒業式、花見、花粉症…。

 多用していてはありがたみが無くなってくるような…。

  昭和の終わりに生まれた私が物心ついた時、元号は平成だった。

 そしてバブルの記憶がほとんどない私にとって、「景気=不景気」。

 倒産、リストラ、就職氷河期、リーマンショック…と

 ネガティブな経済用語ばかりが思い浮かんでしまう。

 しかし、昨年末の天皇陛下の「平成が戦争のない時代として終わろうとしている」

 というお言葉から、私の中で平成のイメージは明るいものとなった。

 そして年末年始に読んだのは、こんな本。

 

 背筋をシャキッと@『星ちりばめたる旗』小手鞠るい//ポプラ社//F-コ

 見た目は完全に日本人の日系アメリカ人二世の母のもと、

 完璧なアメリカ人として育てられたジュンコたち4人きょうだい。

 長男ロビン、長女チカ、次女ジュンコ、三女フィービー。

 それぞれアメリカではなじみのある小鳥の名前がつけられている。

 徹底的に日本語や日本文化を排除、むしろ禁止されて育った4人のうち、

 主人公の一人であるジュンコだけが日本に強い興味を持つ。

 母はなぜ頑なに子どもたちから日本を遠ざけたのか。

 彼女は自分のルーツを求め、既に他界した祖母・大原佳乃の生涯を追う。

 そこで知ったのは、明治時代祖母は「写真花嫁」として、

 一度も会ったことがない幹三郎(ジュンコの祖父)に嫁ぐため渡米してきたということ。

 家族も友達もおらず、言葉も風習も全く違うアメリカで祖父母は互いを支え合いながら

 慎ましく生活する。子ども(ジュンコの母)たちにも恵まれ、家族は幸せだったが、

 第二次世界大戦が始まる頃から、在米日本人たちの日常は変化していく…。

 日系移民三世代の女性たちを描くファミリーヒストリー。

 

 「第二次世界大戦時にアメリカで暮らしていた日本人」について考えたことなど一度もなかった。

 というより、その頃アメリカで生活をしていた日本人が大勢いたということすら知らなかった。

 1900年代の初頭、なぜ多くの日本人男性が渡米したのか。

 そして「写真花嫁」と呼ばれた女性たちの存在。

 彼らが戦時中、差別や暴力を受け、強制収容所に入れられたということ。

 恐ろしく、衝撃的な悲劇の連続に心は揺さぶられる。

 そして本を閉じてからも、今なお国同士の争いの中で、

 国籍や人種、宗教の違いなどを理由に辛い思いをし、危険な目にあっている

 「個人」が、多く存在しているということを考えさせられる。

 

  晴れやかなお正月にしてはずいぶん重いテーマだったが、とても良い本だった。

 戦争のあった時代に生まれた方の人生や、物事をいろんな角度から見ることから、

 今を生きる私たちは歴史を知り学ぶことが大切だと改めて思った。

 もうすぐ発表される次の元号では、日本だけでなく「世界中で戦争がない」時代に

  しなければならない。さあ、今年も読むぞ、考えるぞ。

 背筋をピンと伸ばしてくれる一冊と出会えた。

 

背筋をシャキッとA 

 興味のある方はこちらもどうぞ。

 『屋根裏の仏さま』ジュリー・オオツカ//新潮社//933-オ

 同じく写真花嫁として渡米した女性たちの見た太平洋戦争を描いている。