ヤングアダルト(YA)の本

 

 

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 YA(ヤングアダルト)とは、13歳〜18歳くらいの若者を表す言葉です。その世代に人気のある本や、触れてほしい名作、生き方や進路に悩んだときに参考になる本、趣味の本など、様々な分野の本を選んでいます。中高生の読書推進を目的としていますが、大人の方も楽しめるコーナーです。

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 『ハルと歩いた』 

  西田 俊也//徳間書店//91-ニ

  

 小学校を卒業したのに、イマイチ感動できなかった陽太。1年前に亡くなった母の故郷、奈良に引っ越してきたばかりで親友がいなかったし、ちょっとだけ気になっていた女子、川島さんとも親しくなれなかったからだ。そう冷静に自己分析していた時、河原でおじさんから迷い犬を預かってしまう。飼い主を探してあげて、と言われ陽太はなんとなく犬を自宅に連れ帰ることに。

 ブタみたいに鼻を鳴らす、ぺたんこ顔の犬は、黒いフレンチブルドッグのようだ。元の飼い主が見つかるまでの間、という条件で、お父さんは犬を預かることを許してくれた。

 とたんに退屈な春休みは終わった。陽太は犬を連れ歩き、飼い主探しを始める。犬との散歩は刺激的だった。初めて近所に顔なじみができ、挨拶が増える。「イヌ友」ができ、「お兄ちゃん」と呼ばれるようになる。今まで「よその町」だった奈良の古い町並みに親しみがわき、居場所を見つけたのだ。

 長い眠りの中にいたかのような主人公がようやく動き始め、様々な出会いから感じ、考え、成長していく。そしてついに本当の飼い主が見つかるが…。

 春休みにちょっとだけ大人に近づいた少年と「犬と暮らす幸せ」を描く、爽やかな物語。

 

 

 

 

 

 

  

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 『バッタを倒しにアフリカへ』

 前野 ウルド 浩太郎//光文社//486

 

 少年には夢があった。「大好きなバッタに食べられたい」。その情熱は冷めることなく、成長した彼は海を越え、アフリカの大地へ。緑の全身タイツ(草と間違えさせるため)をまとい、臆することなくバッタの大群へと飛び込んでいった…!

 と、いう夢が実現するまでが非常に長い。虫好き少年だった著者は、わき目もふらず昆虫学者になる。しかし、学者になってから気づくのだ。昆虫学者って儲からない、と。なぜなら日本ではバッタ学(バッタについての専門的な知識)を求められることが非常に少ないからである。では、どこかにバッタ学を待ち望んでいる人、場所はないかと考え、深刻な昆虫の農作物被害が続くアフリカ、モーリタニアへとたどり着いたのだ。

 無邪気な子どもたち、ディープインパクトな通訳の男、未知の生物、心を通わせた野生のハリネズミ…。いくつもの出会いに感謝し、自然災害や珍事件、肝心のバッタの群れとなかなか出会えない逆奇跡など、運命を丸ごと受け入れる著者が清々しい。

 表紙のインパクトもさることながら(写真の人物はもちろん著者です)、ページの中もうごめく虫・虫・虫!苦手な方が卒倒しそうなホラー写真もありますが、冒険記としても抜群に面白い一冊です。

  

 

 

 

 

 

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  『走れ、走って逃げろ』

 ウーリー オルレブ//岩波書店//92-オ

 

 第二次世界大戦下のポーランド。ユダヤ人のスルリックと家族は、ナチスによる迫害を受ける。両親、兄弟とはぐれた彼は、わずか8歳にしてたった一人、自由と食料を求め、ゲットー(強制収容地区)を脱出する。

 見知らぬ農村をさまよい、食べ物を盗んで生きる。村にいられなくなると、森に逃げ込み狩りをしながら、次の村へと移動する。飢えと孤独、横行するユダヤ人狩り。生活は過酷だが、スルリックの生き延びようとする強い意志と、それに応えるかのような幸運や救いにより、彼の命はかろうじて続く。かくまってくれた家族。命がけで逃がしてくれた農夫。良心のある兵士。どん底の世界で、人々の温かさに触れ、わずかな希望を手繰り寄せるように、生きていく。

 少年はナチスを、消えた家族を、神様を恨まない。失った人々を、失った片腕を嘆き続けることもない。今この時を生きることだけに執着する。ユダヤ人であることを隠し、「ユレク」として生きるうち、やがて彼は過去の記憶や本当の名前すら忘れてしまう。

 ゲームのように失敗した場面に戻ることはできない。判断を誤れば死が待つ、極限の日々を走り続ける少年の物語。

  

 

 

 

 

 

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 『髪がつなぐ物語』 

 別司 芳子//文研出版//91-ベ

  

 「ヘアドネーション」という言葉を知っていますか?ヘアは髪、ドネーションは寄付を意味します。病気や治療、その他の理由から髪が抜けてしまったり、生まれつき髪が生えない無毛症の方のために、切った髪を寄付し、人毛からウィッグを作るチャリティ活動です。日本ではジャパン・ヘアドネーション&チャリティ(JHD&C)という団体が、18歳以下のウィッグを希望する子どもたちのために活動しています。

 ここでは初めてヘアドネーションに挑戦する少女や、成人式の後伸ばした髪を寄付する仲良し3人組、寄付のために幼稚園の頃からずっと髪を伸ばしているサッカー少年など、この活動に取り組む様々な人が登場します。また、初めてウィッグを受け取る少女の思いも、丁寧につづられています。

 髪を提供する人(ドナー)たちは、お金ではない方法でウィッグを待つ人(レシピエント)を助けることに意味がある、と言います。ある小学生のドナーは、ヘアドネーション後の髪が短くなった自分を鏡で見て、これなら何度でもできる、とさっそく次の寄付のことを考えています。

 もちろんドナーだけでなく、協力する会社、仕分けや発送をするボランティアさん、レシピエントにぴったりのウィッグを仕上げる美容師さんなど、たくさんの人の協力でヘアドネーションは成り立っています。

 興味を持った人は本を開いてみてください。

 

 

 

 

 

 

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『恋する寄生虫』

 三秋 縋//KADOKAWA//F-ミ

 

 失業中の高坂にとって、自宅のマンションは唯一無二の聖域だ。2台の空気清浄機、消毒液、大量のゴム手袋、マスクと除菌グッズ…。彼は極度の潔癖症である。人が触れたものには触れられず、人が作った料理も食べられない。自分は人間に向いていないと、やけになった彼は、コンピュータウイルスを作り始める。プログラマであり、几帳面・完璧主義の彼には容易いことだ。現実のウイルスに怯える男が作り上げた、電子のウイルスはネットワーク上にばらまかれた。その日から、彼の運命は変わっていく。

 数日後。高坂のもとに和泉と名乗る男が現れる。高坂の犯行を突き止めた彼は、「通報されたくなかったら、ある人の面倒を見るように」と取引を持ち掛ける。そして引き会わされたのが、視線恐怖症で不登校中の金髪女子高生、佐薙(さなぎ)ひじりだった。

 最初は反発しあう二人だが、社会復帰に向けて互いに協力することで、友情を深めていく。リハビリとして電車に乗ったり、目を合わせたり、手を繋いだり…。友情と信頼は次第に恋愛へと変化していく。

 しかしそれはある原因により、惹かれ合うようプログラムされた偽りの恋だった。佐薙はどんな恋でも幸せならそれでいい、と言うのだが…。

 不器用に生きる人たちに贈る、奇妙で切ない恋愛小説。

 

  

 

 

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 『ことばのかたち』

 おーなり 由子//講談社//726

  

 もしも

 話すことばが 目に見えたら

 どんなかたちを しているだろう

 優しい言葉はふわふわで暖かい色。傷つける言葉は針や釘の形かもしれない。

 言葉に傷つけられることがある。それはずっと治らない傷かもしれない。でも言葉に救われる時もある。一生忘れない、繰り返し思い出すことで幸せな気分になれたり、強くなれたりする、目に見えない宝物。

 どんな言葉を話すかは自分次第。ふわふわの、きらきらの、まるい言葉を選びたい。

 

 

 

 

 

 

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  『妖怪の子預かります』

 廣嶋 玲子//東京創元社//F-ヒ

  

 江戸時代。とあるおんぼろ長屋に暮らすのは、目の見えない美形の按摩師(整体師)千弥と、話せない少年弥助。親子にも兄弟にも見えない二人は身を寄せ合い、慎ましやかに暮らしていた。

 ある夜、弥助は悪夢にうなされた苛立ちから、森で見つけた美しい石をたたき割ってしまう。次の日、長屋にからす天狗が現れ、弥助は妖怪奉行所に連れていかれる。なんと弥助が割った石は、妖怪の託児所だったという。石を失った悲しみから、ベビーシッター妖怪の「うぶめ」が姿を消し、彼女が戻るまでのあいだ、弥助が託児を引き受けるよう命じられる。

 その日から長屋には梅干し小僧、子だくさんのどじょう女、酒乱の鬼、男前の髪が好物のはさみのつくも神など、人ではないものたちが押し寄せる。千弥以外の人と口が聞けなかった弥助だが、不思議と妖怪たちとは話すことができ、守るものができた責任感からたくましく変わっていく。

 弥助が話せない理由や、千弥の抱える秘密、二人が一緒に暮らす理由など、謎が解ける頃、妖怪三昧の長屋暮らしがちょっとだけうらやましく思えてくる。怖い話が苦手な人にもおすすめできる、心温まるお江戸妖怪ファンタジー。

 

 

 

 

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 『カレーライスを一から作る 関野吉晴ゼミ

 前田 亜紀//ポプラ社//61

 

 一から、とはどういうことだろう。答えは簡単。食材の米、野菜、肉、スパイス、塩。お皿にスプーン。すべて「一から」。

  以前YAコーナーで関野吉晴さんの著書『舟をつくる』を紹介したことがある。こちらも砂鉄を集めて斧を作ったり、布を織って帆を作ったりするところから、木製の舟を作り上げる過程を追ったものだった。今回の舞台は、東京のとある大学。世界中で冒険している関野さんにしては、ずいぶん穏やかなテーマに感じるが、甘い話ではないとすぐに気づかされる。

  プロの農家さんでも試行錯誤を重ね、自然に振り回されながら収穫している米や野菜を、ど素人が育てることは容易ではない。問題は次々と積み重なっていく。その度、関野ゼミのメンバーは頭を突き合わせ、意見を出し合う。そして一番の問題はヒナから育てたウコッケイとホロホロ鳥を「肉」にすること。だれが?どうやって?やっぱり食べない??学生たちの真剣な意見に心はゆさぶられる。

  モノの原点を探ると社会が見えてくる。一皿のカレーライスから関野さんが学生に、読者に伝えることは何か。メンバーの一員になった気分で一緒に頭を悩ませ、時にぶつかり合いながら読み進めてほしい。

 

 

 

  

 

 

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 『キミがくれた希望のかけら』

 セアラ・ムーア・フィッツジェラルド//フレーベル館//93-フ

 

 隣り同士の家に住む同級生のオスカーとメグ。二人の部屋は向かい合っていて、自分の部屋にいながら窓ごしに会話できた。お互いを自分の一部のように思っていて、なんでも相談しあえる仲だった。しかし、メグは父の仕事で、自宅のあるアイルランドから遠く離れたニュージーランドで半年間過ごすことになってしまう。メグはついにオスカーに恋心を伝える手紙を書くが…。

 物語はオスカーのお葬式から始まる。メグがニュージーランドへ行ってまもなく、冬の海で投身自殺をしたという。彼の遺体が見つからないことから、その死を認められないメグと、オスカーの弟スティーヴィは二人で事件の謎を追う。

 メグとオスカー、それぞれの視点でストーリーは進んでいく。オスカーは生きていた。しかし家にも帰れず、ある場所で身を潜めていたのだ。

 なぜ、クラスの人気者で心優しいオスカーが姿を消したのか。それはメグの家に引っ越してきた新しいお隣さん、パロルという美少女が関係していた。オスカーとパロルが親密になるにつれ、クラスの様子は徐々に変化していった。

 思春期に直面する恋や友情の悩み。恐ろしい集団心理や女子の内面を鋭く描いている。

 

 

 

 

  

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  『あかり』

 林 木林・文 岡田 千晶・絵//光村教育出版//P-ハ

 

 火をともされたろうそくが初めて照らしたのは、生まれて間もない赤ちゃんと幸せそうな家族。このろうそくは、お母さんが「こころにやさしいあかりがともるように」と娘のために作ったものだった。

 愛のこもった願いをかけられ、ろうそくは一心に女の子を照らし続ける。女の子や家族の誕生日など、初めは幸せな日にともされた火だったが、いつしか成長した少女が悲しい時や不安な時に使われることが多くなった。揺らめく炎を見つめていると、少女の心はいやされた。

 やがて少女は大人になり、両親の元を離れる時がやってきた。赤ちゃんだった彼女は美しい女性になり、いつしかお母さんになった。忙しい日々に追われ、ろうそくは戸棚の木箱に入れたまま忘れ去られていた。

 どれくらい時間がたったのだろう。再びゆっくりと木箱が開けられた時、ろうそくをのぞき込んでいたのは小さなおばあさんだった。

 身を削りながら、愛する人を照らし続けるろうそく。心に灯った温もりは消えない。

 

 

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