ヤングアダルト(YA)の本

 

 YA(ヤングアダルト)とは、13歳〜18歳くらいの若者を表す言葉です。その世代に人気のある本や、触れてほしい名作、生き方や進路に悩んだときに参考になる本、趣味の本など、様々な分野の本を選んでいます。中高生の読書推進を目的としていますが、大人の方も楽しめるコーナーです。

 ※本の詳細はタイトルをクリックして下さい。貸出中の本は予約できます。

 

 『理系研究者の「実験メシ」』
  松尾佑一//光文社//407

 

 炎天下の車のボンネットで目玉焼きは焼けるのか。お湯を入れたインスタントラーメンを放置すると麺はどれくらいブヨブヨになるのか。納豆ってどうやって作るのだろう…。ふとした瞬間に湧き上がる食に関する様々な疑問を、大学で生物学を教える研究者が体当たりで実験します。

 理系研究者ならではの難しい用語や数式が出てきますが、わかりにくいところはななめ読みしても大丈夫。実験自体の面白さは損なわれません。上手くいかない時は別の方法を考えたらいい、と突き進む姿は壮快です。

 子どもの頃、夏休みの自由研究が楽しみでしょうがなかった、という著者。筋金入りの理系少年が大人になり、思いつくまま好き放題に研究しまくる。その楽しさを若い人たちに向け、こんな風に語ります。「不思議に思ったことを、気のすむまで調べてみるというのは、人生の中でもえがたい貴重な経験であり、それは社会人になったら、手に入れることがとても困難なものだと思うのです。」

 成功あり、失敗あり、ハプニングありの楽しくて美味しい自由研究。

 

 『ペピーノ』 

  リンデルト・クロムハウト文 ヤン・ユッテ絵//朔北社//94-ク

 

 学校にいるとき。家にいるとき。親友といるとき。好きな人と一緒にいるとき。人はいろんな顔を持っている。本性を隠して自分を良く見せようとする「猫をかぶる」って言葉もある。

 ペピーノがかぶっていたのは、「クマの皮」。比喩ではなく、本物のクマの毛皮を被ってサーカスでクマを演じていたのだ。ある日、自分以外の誰かになる生活に嫌気がさしたペピーノは、サーカスを飛び出し、町を抜け大自然を目指した。古い山小屋でクマの毛皮を着て夜を明かした彼の前に、本物のクロクマが現れた。クロクマはペピーノを本物のクマだと思っているようで、友好的に体を摺り寄せてくる。正体がバレないかと肝を冷やすペピーノだが、意外にもクマと過ごす山の時間は快適で…。

 クロクマと肩を並べ無言で風に吹かれるうち、ペピーノはふと、自分がクマでも人間でもどちらでもいいような気がしてくる。少し変わった自分探しの物語。

 

 『無人島冒険図鑑』

  無人島プロジェクト・編 梶海斗・著//秀和システム//786

 

  無人島に行けるとしたら…。あなたは何を持って行きますか?誰しも一度は想像したことがあるのではないでしょうか。この想像が楽しいのは、それが空想だから。無人島はほとんどの日本人にとって身近な存在ではありません。しかし、日本にはなんと6415島もの無人島が存在するそうです。本書では上陸が可能な日本と海外の無人島を紹介しています。

 海水浴やバーベキューが気軽に楽しめる島、1日1組限定の「貸切できる」島、重要文化財が眠る歴史が学べる島、野生の動物を身近に観察できる島など、好みや目的に合わせて島を選ぶことができます。

 行き先が決まったら、冒険の準備をしよう。さぁ、かばんには何をつめる?テントの張り方、ロープの結び方はわかる?食べられる野草、魚介、虫を見分けられる?どんな危険があるだろう?無人島での禁止事項もありますよ。

 空想の中の冒険が実現できる、夢が詰まった一冊。

 

 『わたしのなかのあなた

  ジョディ・ピコ―//早川書房//933-ピ

 

 人は何のために生まれるのだろう。なぜ生きているのだろう。考えたことはないだろうか。

 アナ・フィッツジェラルドは、遺伝子操作により作り出された完璧なデザイナーズ・ベイビー。彼女が生まれてきた目的は、はっきりとわかっている。白血病を患う姉、ケイトのドナーとして生まれてきたのだ。その事実は物心がついた時から両親に何度も言い聞かされてきた。ケイトへの輸血や骨髄の提供は、アナにとっては日常である。しかしケイトの病状は悪化し、両親はとうとうアナからの腎臓移植を決意する。

 一方思春期を迎えたアナは、自分の生き方に疑問を持ち始める。「私の身体は私のものだ。」当たり前のことを主張してもいいのではないか。そう考えた彼女は腎臓の摘出を拒み、弁護士を雇って両親を相手に訴訟を起こす。

 アナ、ケイト、二人の兄ジェシー、両親、弁護士。それぞれの視点から語られる、家族の物語。

 

  『ネットとSNSを安全に使いこなす方法

  ルーイ・ストウェル//東京書籍//547

 

 ゲームをしたり、動画を観たり、世界中の人と連絡を取ったり…。インターネットはとても便利なツール。 

 でもネットの世界でも現実世界(リアル)と同じように、失礼な人やいじわるな人がいたり、犯罪が起きることも。大人も子どもも、被害に遭うことがあるし、気付かぬうちに自分が加害者になることもあるかもしれない。

  インターネットと安全につき合うにはどうしたらいいだろう。ネット上で起きる様々な問題を「こんな時、自分ならどうするだろう?」とイメージしてみよう。ネットを使う以上、誰もが無関係ではない問題ばかりだ。

 インターネットの恐ろしさを書き連ね、若い人たちを脅すための本ではない。安全に使いこなせば、一生を豊かにしてくれるということも教えてくれる、利用者に寄り添った一冊。

 

 『ぼくたちがギュンターを殺そうとした日

  ヘルマン・シュルツ//徳間書店//94-シ

 

 第二次世界大戦終戦直後のドイツ北部。小さな農村は都会から疎開してきた子どもや、周辺の国からの難民が集まり混乱していた。家族の戦死や貧困から大人たちは心に余裕がなく、いつも怒ったり悲しんだりしている。

 主人公のフレディも、家族と離れ叔父夫婦の暮らす村にやって来た少年。彼は仲間たちと難民の少年ギュンターをいじめてしまう。グループのリーダーであるレオンハルトは、大人に告げ口されることを恐れ、ギュンターを殺してしまおうと計画する。村はずれにある、泥の沼に沈めてしまえば死体も見つからない。 

 恐ろしい計画にフレディは驚くが、リーダーを含む多数派に反対できない。レオンハルトがギュンターを村から連れ出した日、沼に先回りしたフレディは、そこで意外な人物と出会う…。

 ギュンター殺害計画の中で「なぜ殺してはいけないのか」「大人は戦争でもっと多くの人間を殺している」と少年たちが言い争う場面がある。著者の実体験を元に描かれた物語。

 

 『おもろい以外いらんねん

  大前粟生//河出書房新社//F-オ

 

 幼なじみの咲太と滝場。二人の通う高校に転校してきたユウキ。お笑い好きの3人は、滝場を取り合う形で咲太と滝場の「アジサイ」、滝場とユウキの「馬場リッチバルコニー」という漫才コンビを結成する。こじれた三角関係の末、咲太は二人と離れ「アジサイ」は解散、「馬場リッチバルコニー」は高校卒業後、プロの漫才師を目指す。

 十年後。「馬場リッチバルコニー」は関西圏ではそこそこ名の知れたコンビとなり、劇場や深夜番組で活躍している。咲太は二人を応援しながらも、滝場と別れた人生の分岐点を何度も思い返し、前に進めずにいるような気がしていた。一方「馬場〜」は、とあることから滝場一人に人気に火が付き、二人で漫才や稽古をする時間が減っていた。「おもろかったらなんでもいい」という滝場と、純粋に漫才がしたいユウキの間には溝ができていて…。

 三人の葛藤、笑いの中に潜む暴力性、コロナ禍のお笑いなど、現代の笑いを描いた青春群像劇。

 

 『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

  河野啓//集英社//786-ク

 

 2018年5月21日。登山家の栗城史多(くりきのぶかず)さんがエベレストで滑落死した。35歳という若さだった。その死は多くの謎に包まれている。

 栗城さんはそれまでの登山家のイメージから大きく逸脱した、ニュータイプの登山家として世間の関心を集めた。バラエティ番組に出演したり、ファッション雑誌でモデルをしたり、2千万円もの遠征費用をクラウドファンディングで集めることも。小柄な体格に人懐っこい笑顔、チャラい言動も人々に親しみを抱かせた。そんな彼が力を入れていたのは、登山をエンターテインメントとして世界に発信することだった。登山の様子を自撮りし、ライブ配信をしたり、SNSで行動や心境を逐一報告したり。自分の冒険を世界中の人と共有することを目的としていたが、目立つほどに彼の活動に否定的な人も増えていく。

 栗城さんの時に過激な言動は、ファンや他の登山家からも批判を受けることもしばしば。そして2018年、世間の賛否を浴びながら、彼は8度目のエベレスト登頂に挑戦するが…。

 栗城さんの活動をドキュメンタリーとして世に放った最初のディレクターが、彼の死の真相にせまるノンフィクション。

 

 『私のカレーを食べてください』 

 幸村しゅう//小学館//F-ユ

 

 児童養護施設で育った成美は、高校卒業後調理の専門学校へと進学した。初めての一人暮らしは心細いが、それ以上に開放感にあふれていた。

 彼女には夢があった。両親の離婚と育児放棄から施設に入ることになった日、先生が成美を元気づけようとカレーを作ってくれた。家庭や給食のものとは違い、スパイスを炒めるところから作るインド仕込みのカレーだった。刺激的なカレーは彼女の生存本能に火をつけ、幸福感を与えてくれた。

「料理を食べる人の顔を思い浮かべること。その人が健康で元気で、笑顔になる料理を作ること。」調理中の先生の言葉はすべて覚えている。学校では和、洋、中、製菓といろんな種類の料理を学ぶが、彼女の目標は人を幸せにできるスパイスカレーを作ること。修行のため毎日3食カレーを食べる成美は、ふと訪れた喫茶店で人生二度目の「感動カレー」に出会う。多くを語らない物静かな店長から、その技を盗むべく弟子入りを決意する。

 カレー一筋、おのれのカレー道をつき進む成美のスパイシーなカレーライフ。読めば必ずカレーを食べたくなる元気の出る小説です。巻末には特製カレーのレシピが載っています!

 

 『ジュリアンはマーメイド

  ジェシカ・ラブ//サウザンブックス社//P-ラ

 

 ジュリアンとおばあちゃんは、お出かけの帰り道マーメイドの格好をした3人のお姉さんたちに出会う。ジュリアンはきれいなものが大好き。長い髪、光るアクセサリー、人魚のうろこやひれに似せたひらひらのドレス。あっという間に自分も人魚になる妄想をふくらませていた。

 うちに帰ってから、ジュリアンはおばあちゃんにそっと打ち明けた。「あのね、おばあちゃん。ぼくもマーメイドなんだ」。おばあちゃんは「シャワー、あびてくる」と一言、部屋を出て行ってしまった。

 ジュリアンはカーテンを身体に巻き付け、葉っぱを髪にさし、リップをぬり、一人で人魚の気分を味わっていた。そこにおしゃれをしたおばあちゃんが戻ってきて「でかけるよ」とジュリアンを外に連れ出す。二人が向かった場所は…。

 ちょっとぶっきらぼうなおばあちゃんとジュリアンの表情が最高!気持ちを晴れやかにしてくれる、美しい絵本。

 

 

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