ヤングアダルト(YA)の本

 

 

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 YA(ヤングアダルト)とは、13歳〜18歳くらいの若者を表す言葉です。その世代に人気のある本や、触れてほしい名作、生き方や進路に悩んだときに参考になる本、趣味の本など、様々な分野の本を選んでいます。中高生の読書推進を目的としていますが、大人の方も楽しめるコーナーです。

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 『泥』
 ルイス・サッカー//小学館//93-サ

 

 ペンシルバニア州ヒースクリフ。名門私立学校に通うタマヤは、近所に住む2つ年上のマーシャルと登下校している。少し前までは憧れのお兄さんだったマーシャルだけれど、最近学校内では目も合わせてくれない。どうやら彼はクラスでいじめられているようだ。

 ある日、マーシャルとタマヤは、帰り道で学校一の不良チャドに待ち伏せされる。チャドを避けるため、2人は立ち入り禁止の森を突っ切って帰ることに。しかし森でチャドに追いつかれてしまう。チャドから暴行を受けるマーシャルを助けるため、タマヤは足元の泥をすくい、チャドの顔をめがけて投げつけた。

 チャドから逃れた二人は家に帰るが、タマヤは泥に触れた部分がピリピリ、チクチクと痛むことに気づく。翌日、彼女の右手は赤いぶつぶつ、水ぶくれ、かさぶたにおおわれ、痛む範囲も広がっていた。不安を隠し、いつも通り登校したタマヤだが、チャドが昨晩から自宅に戻らず、行方不明になっていることを知らされる。

 一方、米国環境委員会では、タマヤたちが入った森の中で研究開発されていたエネルギーに変えられる微生物「バイオリーン」についての聴聞会が開かれていた。環境にやさしいクリーンなエネルギーとして研究培養されていた「バイオリーン」だが、突然変異が見つかり…。

 タマヤたちの日常と聴聞会で明かされる恐ろしい現実。二つの物語が同時に進行していく。

 環境・社会問題をテーマにしたミステリータッチのパニック小説。

 

 

 

 

 

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 『地図を広げて』

 岩瀬 成子//偕成社//91-イ

 

 中学生になりたての春、父親と二人で暮らす鈴の元に、4年前に両親の離婚で離ればなれになった母が倒れたという報せがとどく。鈴と父は母の入院先へと向かうが、母は二人の到着を待たず亡くなってしまう。病室で再会したのは、前に見た時からずいぶんと大きくなった弟の圭だった。その日から父と鈴に敬語を使う、よその子みたいな実の弟、圭との暮らしが始まった。

 離れていた時間のこと、それぞれが持つ母との思い出、学校のこと、友だちのこと、ぽつりぽつりと会話を広げる姉と弟。父の同級生で、家事を手伝いに来てくれる巻子さんや、鈴の唯一の親友でちょっとクールな月田に支えられ、二人は少しずつ「きょうだい」であることを取り戻していく。

 父、鈴、圭。それぞれがお互いを思いやりながら、手探りで「新しい家族の形」を作り上げる姿を丁寧に描いている。

 

 

 

 

 

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 『いじめのある世界に生きる君たちへ』

 中井 久夫//中央公論新社//37

 

 幼少期ひどいいじめに遭ったという著者は、同じようにいじめに苦しむ子どもと、その記憶に生涯苦しむ大人を救うため精神科医になりました。著者はいじめが進む段階を「孤立化」「無力化」「透明化」と三つに分けます。

 「孤立化」はターゲットの特定。いじめの標的にならなかった人たちは、いじめられる人を気の毒に思う一方、安心します。そして心苦しさから「いじめられる側にも問題がある」と考えてしまうようになります。

 「無力化」は、被害者に「反撃しても無駄だ」と思わせること。いじめに抵抗する言動があれば、加害者はさらに何倍もの暴力で被害者をねじふせます。この繰り返しで被害者は無力化していきます。

 最後は「透明化」。これはターゲットから外れた人たちの心に起きます。人間の脳は見たくないものを目に入らないようにする働きがあり、いじめが風景の一部になっていきます。そして被害者は加害者ではなく、無力な自分を憎むようになり、死が苦しみから解放される唯一の方法だと考えてしまうのです。

 いじめは「してはいけないこと」だと誰もがわかっているはず。それなのに、いじめによる自殺は後を絶ちません。大人も子どもも、この問題に無関係な人はいません。すべての人が、目を背けずに考えなければなりません。

 

 

 

 

 

 

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  『友情だねって感動してよ』

 小嶋 陽太郎//新潮社//F-コ

 

 私にとって重要なのは、ともすればひとりぼっちになってしまうカニをフォローしてあげることではなくて、そのことによって得られる自己満足と周囲からの評価だ。カニがいれば私はもっと輝けるし、自分に酔うこともできる。そんな自分の性格の悪さを自覚しつつ、隠しながら実行している私は最強。事実、中学時代の私は教師からも男子からも評判がよかった。可児のことをいつも気にかけていて本当にえらいなあ海老原は。そんなふうに褒められるたびに私の体には快感が走った。自分の立てた計画が、自分の思ったとおりの効果を生み出したと実感できたときほど気持ちのいい瞬間はない。(「甲殻類の言語」P,20)

 「高校に入ったらクラスに人形と昼ご飯を食べている男がいた」というのは、一年B組に振り分けられた僕たちにとって最大の共通点である。だから誰もが二言目には間違いなく湯浅を使う。「自分はあの湯浅という人間がとても不気味だと思うんだけど、君はどう思うか」、僕たち高校生が日常使う言語で端的に言うと、「あいつやばくね」といったところだ。二言目には判で押したように「あいつやばくね」。これは魔法の言葉で、それを合図にしてクラスメイトは恐ろしいほどスムーズに交流を深め、それぞれの関係を築いていくのだった。(「友情だねって感動してよ」P,225)

 著者の作品は、主人公たちの「語り」がとにかく面白い。頭の中に浮かんでは消えるとりとめのない思考や、恋愛の一喜一憂、マイナスな感情までさらりとユーモラスに描いている。

 実在する公園と神社を舞台に、若者たちが友情に恋愛に奔走するちょっと不思議な短編集。

 

 

 

 

 

 

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 『エヴリデイ』

 デイヴィッド・レヴィサン//小峰書店//93-レ

 

 目が覚めるとすぐに、自分が誰か突き止めなければいけない。男か女か、白人か黒人か、太っているか痩せているか。部屋は?パジャマは?ベッドは?どんな家庭環境か?

 主人公は名前と肉体を持たない意識のみの存在。毎朝違う人物の体の中で目覚める。体を借りる人物はメリーランド州に住んでいる同い年、16歳のだれか。男の日も女の日もある。そして体を借りるのは一日だけ。目が覚めれば別の人物で、同じ人物に二度「入る」ことはない。肉体を持たない意識は、自分のことを「A」と呼んでいる。

 物心ついた時から漂流し続けているAは、自分の生活にいくつかルールを作っていた。宿主の人生を大きく変えるような行動をとってはいけない。宿主の家族や友達は自分のものではない。そう考え、たった一日の人間関係の中で生きてきた。

 しかし、ある日ジャスティンの体で目覚めた時、Aはジャスティンの彼女リアノンに恋をする。ジャスティンのことが大好きで健気で一途なリアノン。しかし、ジャスティンは彼女のことを大事にしているようには思えない。リアノンへの好意を自覚したAは、初めてルールをやぶり、ジャスティンの体から離れ別の人物に宿ってからも、彼女と接触してしまう。Aの行動により、リアノンやジャスティン、彼らに関わる人々の運命は少しずつ変わっていく。

 毎日違う人物、違う人生を生きる、不思議な主人公Aの初恋を描いた物語。

 

 

 

 

 

 
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 『出雲のあやかしホテルに就職します』

 硝子町 玻璃//双葉社//F-ガ

 

 大学四年生の時町見初(ときまち みそめ)の就職活動は、難航していた。何社も入社試験を受けるも、内定はゼロ。自信を無くした彼女に、大学の職員が奥の手とばかりに手渡したのは、あるホテルの求人票。それは「出る」ことで有名な島根県出雲市のホテル櫻葉だった。

 見初は幽霊が怖いわけではない。なぜなら彼女は物心ついた頃から、妖怪や霊が見え、それにすっかり慣れてしまったのだ。とはいえ、心霊スポットで働く気にはなれない。新たな職を探す見初は、街で椿木という好青年に出会う。彼は偶然にもホテル櫻葉の従業員。見初の持つ霊感に気づいた彼は、見初の力をホテル運営に使うべく、スカウトのために大学までやってくる。

 こうしてめでたく(?)見初の就職は決まった。しかしはじめてホテルを訪れた日、見初は椿木から新事実を聞かされる。それは櫻葉は「お化けが出るホテル」ではなく、「お化けが来るホテル」だということ。人間だけではなく、幽霊、妖怪、そして神様たちが泊まりに来るホテルだったのだ。

 見初が就職したとたん、役者が揃ったとでもいうように、椿木やホテルの従業員たちの人生が大きく動き始める。謎の多い見初の家族の秘密も徐々にあきらかに…。

 巻を増すごとに面白い、『あやかしホテルシリーズ』は現在4巻まで出版されています。

 

 

 

 

 

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  『王様に恋した魔女』

 柏葉 幸子//講談社//91-カ

 

  むかし、魔女は幸せだった。魔女として生きるもの。魔法を使わず、人間の女として生きるもの。魔女だからといってあがめられることもなく、差別されることもなかった。娘にだけ流れる魔女の血は、静かに受け継がれていった。

 ある時、朝霧という武器商人たちが暮らす国で戦争が起きた。徴兵された自分の息子を守るため「クモの手」と呼ばれていた魔女は兵士として戦線に立った。クモの手は杖をふるい、雷を呼び敵陣を襲った。戦争に魔女の力を使ってしまったことから、この世界では魔女の受難の時代が始まる。

 人間は魔女の力を欲し、そして力を恐れることから魔女狩りが行われるようになった。かつてのように街で人間と共に暮らすことは困難になり、時には住むところを追われたり、家族と引き離されたりした。

 乱世の中で、人と人の繋がりや家族の絆を描いた連作の短編集。

 

 

 

 

 

 

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 『ぼくの命は言葉とともにある

 福島 智//致知出版社//916-フ

 

  ヘレン・ケラーは、生後間もなく病気により失明し、同時に聴力を失ったアメリカ人女性です。神戸市で生まれ育った著者、福島智さんは小学生の時にヘレン・ケラーの伝記を読み、目を閉じ、道を歩いたことがあるといいます。

 それからおよそ10年後、福島さんはヘレン・ケラーと同じ「盲ろう者」になります。原因不明の病で3歳で右目、9歳で左目を失明します。生来の楽天家で、音楽やスポーツ、落語があるから大丈夫という気持ちだったといいます。しかしその後14歳で右耳、18歳で左耳の聴覚を失います。

 宇宙に放り出されたかのような、不安と恐怖が福島さんを飲み込みました。そんな時、盲学校の友人から贈られた言葉は「しさくは きみの ために ある」。福島さんのてのひらに指先で書かれた言葉は、これからどのように生きていけばよいのか、と苦しむ彼の心にあかりを灯しました。

 「宇宙に放り出された」というのは、光も音もないということだけでなく、他者との繋がりがなくなり、たった一人世界から離れ、消えてしまうようなこころもとない感覚だといいます。孤独な宇宙で、彼をつなぎとめるのは、他者とのコミュニケーションです。でも、目が見えず、耳も聞こえない人とどのようにコミュニケーションをとるのでしょう。それは視力・聴力を完全に失った頃、福島さんのお母さんが彼の手の甲に点字をタイピングする「指点字」を生み出したことから大きく発展しました。

 すばらしい家族や友人、さらに大好きな落語と読書から、自分の道を模索していく福島さんの生き方。障害のあるなしや、東京大学の教授という肩書きにかかわらず、読む人の心を開放する力強い一冊です。

 

 

 

 

 

 

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 『パンツ・プロジェクト』

 キャット・クラーク//あすなろ書房//93-ク

 

 私学の中学校に合格したリヴの悩みは、新しい制服。髪を短く刈り上げ、いつもジーンズをはいているリヴは、制服のプリーツスカートをはくのが嫌でたまらない。

 入学初日(アメリカの学校は9月に新年度が始まる)、気持ちの悪いタイツとすうすうするスカートで登校したリヴは、自分の性について考えていた。パソコンで何度も検索した言葉「トランスジェンダー」。心と体の性別が一致しない人のことをいう。心は男なのに女の子の格好をしなければいけない、まさに自分だ。このことは大好きな家族にも、友だちにも話していない「最悪の秘密」。

 新しい教室で隣の席になったのはジェイコブという爽やかなイケメン。女子にモテそうなのに全然嫌味じゃない。コミックとスケボーと犬が好き、共通点の多い二人はすぐに打ち解ける。

 ジェイコブは、リヴの家庭環境をからかったり、仲間はずれにしようとする同級生からさりげなく守ってくれる。リヴはあっという間に親友になったジェイコブに「最悪の秘密」を打ち明けたいと考えるようになる。

 そしてリヴが自分らしくあるためには、スカートでの学校生活は耐えられない。リヴはジェイコブたち新しい仲間と「制服撤廃」に向けて、ある作戦を練り上げる。

 世の中にはさまざまな人がいて、それぞれが大切なものを守りながら生きている。自分と同じ考えの人がいれば、全く違う人もいるのが当たり前。少数派も多数派も、思いやりを持ち認め合うことの大切さを教えてくれる爽やかな物語。

 

 

 

 

 

 

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  『だんろのまえで』

 鈴木 まもる//教育画劇//P-ス


 夜の雪山で道に迷ってしまったぼく。寒さに疲れ、ふらふらになりながらたどりついたのは、一本の大きな木。太い幹には小さなドアがついている。ドアを開ければ、大きな空間が広がっていた。そこでぼくに声をかけるものがいる。

 「ここに すわって あたたまりなよ」。パチパチと薪が燃えるだんろのまえには小さなうさぎが座っていた。

 まるでお風呂に入っているみたいに、体がゆっくりと温まる。座り込んだ後ろには、大きな動物がいびきをかいている。

 うさぎは炎を見つめながら「つかれたら やすめばいいんだ、むりしないで じっと していれば げんきに なるさ」と静かに言った。

 後ろの動物にそっと寄りかかる。どこからか太ったねこがやって来て、温かい肉球をぼくのまぶたにかざしてくれる。

 まきの燃える音、ねこのゴロゴロ、小さな寝息。だんろのまえで眠りにつくぼく。そして次の日…。

 「疲れたね」とわかってもらえる安心感と「大丈夫」と言ってもらえる心強さ。いつも頑張ってしまうあなたに贈る、温かな一冊。

 

 

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