ヤングアダルト(YA)の本

 

 

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 YA(ヤングアダルト)とは、13歳〜18歳くらいの若者を表す言葉です。その世代に人気のある本や、触れてほしい名作、生き方や進路に悩んだときに参考になる本、趣味の本など、様々な分野の本を選んでいます。中高生の読書推進を目的としていますが、大人の方も楽しめるコーナーです。

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 『列車はこの闇をぬけて』 

  ディルク・ラインハルト//徳間書店//94-ラ

  

 14歳のミゲルは、出稼ぎに行ったきり帰ってこない母親を探すため、幼い妹フアナを故郷のグアテマラに残し、アメリカを目指して旅に出る。貧しい暮らしの中でパスポートなど用意できるはずもなく、国境を越えて横断する貨物列車に忍び込み、不法に入国するのだ。

 ミゲルは地元の難民センターで、同じく国境を越えようとしている同年代の少年少女と出会う。エミリオ、アンジェロ、ヤス(本当はヤスミーナ。男の子のふりをしている)、そしてリーダー格の少年、フェルナンドは一度入国に失敗し、強制送還された経験を持っている。

 母親に会いたい。自由の国アメリカでもっとましな生活をしたい。そんな希望を持ちながら、母親は自分と妹のことを忘れてしまっているのだろうか、という強い不安もある。そして住所もわからない母と、見知らぬ土地で再会できる確率は極めて低い、ということも十分理解している。

 山賊の追いはぎや、彼らと手を組む悪徳警官、不法入国する子どもたちをさらうギャングなど旅は危険に満ちている。手を差し伸べ合い、自らの境遇や過去を語り合うことで結束を深めるミゲル達を乗せて、列車はメキシコの広大な大地を横断していく。

 作者の取材をもとに、現代の世界情勢を鋭く描く物語。あとがきからも、多くのことを教えられます。

  

 

 

 

 

 

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 『サイモンvs人類平等化計画』

 ベッキー・アルバータリ//岩波書店//93-ア

 

 親友もいるし、所属する演劇部もいい感じ。ちょっとうっとうしいけど家族のことも大好きなサイモンは、平凡な男子高校生。彼は今SNSで知り合った「ブルー」とのメールに夢中。ブルーにはなんでも話せる。自分がゲイだということも。

 サイモンがブルーについて知っているのは、同じ学校の生徒で、彼もゲイだということだけ。二人とも相手に自分が特定されないよう、気を付けてメールをしている。この学校のどこかに自分のことを理解し、秘密を共有する人がいる、と思うと毎日がとても楽しい。サイモンはかっこいい男の子を眺めては、彼がブルーだったら…、と考えてしまう。会ったこともないブルーに恋をしていた。

 ある日、学校のパソコンからメールチェックをしたサイモン(家に帰るまで待ちきれなかったのだ)はクラスのお調子者、マーティンにブルーとのメールを見られてしまう。

 「ゲイだということをばらされたくなかったら、サイモンの親友アビー(クラスのアイドル)と自分の仲を取り持つように」と、マーティンにおどされ、サイモンはしぶしぶ彼の面倒を見る羽目に…。

 サイモンとブルー、マーティン、アビー、クラスの仲間たち。それぞれが恋愛や友情に向き合う様子が生き生きと描かれている。特に好きな人からのメールに一喜一憂するサイモンは最高にキュート。彼の恋を応援せずにはいられない。

 

 

 

 

 

 

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  『こども孫子の兵法』

 齋藤 孝 監修//日本図書センター//39

 

 『孫子の兵法』とは、今から約2500年前に中国で生まれた孫子(孫は人名、子は先生という意味)が記した書物のこと。「兵法」とは、国と国との戦いを意味する。戦争の話??と思うかもしれませんが、それだけではありません。孫子が説くのは「強くしなやかなこころ」を育てる方法。

 ヤングアダルトさんたちのこれからの人生、楽しいことがいっぱいです。でもそれと同じくらい、嫌なことやつらいこともあるかもしれません。知らぬうちに「責任」というものが、あなたの肩に乗っていることも…。重いものに押しつぶされそうになった時には、先人の知恵を拝借してください。

 『孫子の兵法』の良いところは、決してキレイごとや正攻法だけではないところ。「好き嫌いだけでなく、有利か不利かでも考えよう。」「ときには困難から逃げよう。」「正々堂々だけでは自分を守れないこともある。」など、世の中をしなやかに生き抜くためのヒントをもらえます。悩んでいる人に、そっと手渡してあげるのもおすすめです。

 

 

 

 

 

 

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 『繰り返されるタイムリープの果てに、きみの瞳に映る人は』 

 青葉 優一//KADOKAWA//F−ア

  

 付き合って2年。ショートボブが似合う最愛の彼女、亜子から突然切り出された別れ話に、慶介は頭が真っ白になる。「運命の人じゃなかった」と言われても納得できない。彼女が大好きだし、結婚も考えていたのだ。

 弱り目に祟り目、その日の帰り道、慶介は事故に遭う。小さな女の子をかばってトラックにぶつかられ、意識を失った彼が目を覚ませば、そこは自室のベッドの上。しかも日付は3か月前の12月31日だった。

 何が起きているのか理解できず、茫然としていた慶介だが、これは亜子をつなぎとめるためのチャンスでは、と思いつく。3か月前の自分たちは、順調に交際中(のはず)だ。彼は別れ話で伝えられた、別れの原因となった行動や指摘された欠点を改め、2度目の季節を慎重に過ごしていく。愛情を言葉にして伝える、プレゼントを贈る、数か月先の旅行の約束をする。大丈夫…、そう感じていたのに、やはり同じ日、亜子から別れを告げられてしまう。

 別れを回避する方法はないのか。帰り道、慶介はまたしても少女を助けトラックにぶつかられる。そして目覚めた3度目の12月31日。繰り返すタイムリープの意味は?そして彼らの恋に幸せな結末はあるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

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『弟は僕のヒーロー』

 ジャコモ マッツアリオール//小学館//976-マ

 

  姉と妹を持つジャコモは、5歳の時弟ができたと知って大喜び。ずっと兄弟がいればなぁ、と考えていたからだ。最強の相棒を得ると思っていた彼が数か月後に初対面した弟、ジョヴァンニはなにやら「特別な」子どもらしい。それは自分たち家族にとって特別な、かけがえのない、ということだけではないらしく…。

 ダウン症の弟、ジョヴァンニと家族の絆を兄である著者が描く。普通の生活、普通の家族、少しだけ人と違う弟。周りの人を喜ばせるのが大好きで、心優しいジョヴァンニ。面白くて可愛くて何より大切なのに、ジャコモは中学に入る頃、弟のことを友達に話したり、紹介したりするのが嫌になってしまう。

 兄は悩む。どうしたら弟のもろさや弱さと共に生きていけるのか。ジョヴァンニはきっと彼女ができないだろうし、悩みを打ち明けたり喧嘩のできる親友もできないかもしれない。それを知りながら、自分は幸せでいられるのだろうか、と。

 ジャコモが19歳、ジョヴァンニが13歳の時、二人で制作したショートフィルム『ザ・シンプル・インタビュー』から生まれた実話。

 

 

 

 

 

 

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 『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』

 東山 彰良//講談社//F-ヒ

 

 タイトルがもう、おバカな男の子そのもので、なんだか可愛い。有象くんと無象くんは冴えない大学生。学業に真面目に取り組むことなく、熱中する趣味もなく、時間つぶしにバイトをする。髪型も服装も地味で、ちょっとダサい。そしてもちろん彼女はいない。二人寄れば根暗に愚痴る、ジメジメの青春を送っている。

 登場人物の名前はそのまま性格や立場を表している。イケメンくん、二番手くん、本命ちゃん、引き立て役ちゃん、女王ちゃんにダンベル先輩。そして「その他」を代表するかのような、有象くんと無象くん。男も女も、見目麗しい人もそうではない人も、彼らは常に「いかにモテるか」だけを考えている。浅はかな駆け引き、意中の相手の気を引くための滑稽な努力、ライバルを出し抜く醜い足の引っ張り合い…。

 馬鹿馬鹿しいのにいたって真剣。有象くん無象くんを中心に、大学生たちの青春を描く、コミカルな連作短編集。

 

 

 

 

 

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  『愛のへんないきもの』

 早川 いくを//ナツメ社//481

 

 「いかにモテるか」に必死なのは決して人間だけではない。本書は生物の求愛行動を集め解説した、動物写真集。

 色鮮やかな鳥たちの求愛ダンス。しめ縄のようにねじれる2匹の巨大ナメクジ。恋敵と真剣勝負するアカシカやゾウアザラシのオス。性転換する不思議な生物たち。カッコイイものもいれば、この生物に生まれなくてよかった、と思ってしまう生き物も。あと、だいたい苦労しているのはどの種類もオスですね…。

  「恋愛」ではなく「変愛」。面白くてちょっと切ない、生き物たちの命がけのモテ大作戦。

 

 

 

 

 

 

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 『浜田廣介童話集

 浜田 廣介//角川春樹事務所//F-ハ

 

 町はずれに立っている、年老いたがい灯にはひとつの願いがあった。それは、一度でいいから星のように輝きたい、ということ。ある時、がい灯は飛んできた蛾に、自分が星に見えないか、と聞いてみると、答えは悲しいものだった。

 自分はなんて大それた願いを抱いてしまったんだろう。自分は星ではなく、がい灯だ。ただ一心にあかりとしての勤めに徹しよう。そう思い気を引きしめた時、がい灯のもとに一つの幸福が訪れる…。(『ひとつの願い』)

 名作『泣いた赤おに』、『むく鳥のゆめ』のほか、いたずら好きのかっぱたちとお月さまの話(『お月さまのごさいなん』)、釘に体を打ち抜かれたヤモリのお父さんの話(『五ひきのやもり』)、風や歌、魂など目には見えないものを主人公にした話など、短い童話が20話も収録されています。

 読んだ後、少しだけ人に優しくなれる、穏やかで柔らかい童話集です。

 

 

 


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 『火打箱』

 サリー・ガードナー//東京創元社//933-ガ

 

 勝ち目のない戦争に駆り出された少年兵のオットーが、死の間際で出会ったのは、かつて仲間だった兵士たちの亡霊を引き連れた死神。このまま死んでもいいと思ったオットーだが、死神は彼を連れては行かなかった。その後半獣の旅人に命を助けられたオットーは「きさまは恋に落ち、自分の王国を手に入れる。」と不思議な予言をされる。

 帰る家もなければ、行きたい場所もない。戦場を後にしたオットーは、サイコロの目に旅の行方を任せる。彼が次に出会ったのは、男装の美少女サファイヤ―。孤独な二人は身を寄せ合い、半獣の旅人の予言通り恋に落ちるが、サファイヤ―は政略結婚から逃がれるため、城を飛び出してきた王女様だと判明する。

 森には魔女が住み、人狼の怪物が町を襲う。そして普通の人々が戦争によるトラウマや貧困から、強盗や殺人を犯す…。狂気が渦巻く世界で、もがくように生きるオットー。捨てても壊しても手元に戻ってくる悪魔の火打箱は、彼を幸福に導くものか、それとも…。

 

 ハンス・クリスチャン・アンデルセンの初期の作品『火打ち箱』の舞台を現実の30年戦争(1618〜1648)に置き換え、さらにイラクやアフガニスタンからの帰還兵の体験談を交えて描いたというダークなファンタジー。これ以上はない、と言い切れるくらい物語にぴったり合った、不安と恐怖を煽る挿絵も素晴らしい。

 

 

 

 

 

 

  『魔術師アブドゥル・ガサツィの庭園』

 C.V.オールズバーグ//あすなろ書房//P-オ

 

 ご近所のミス・へスターに留守中の犬の世話を頼まれた少年アラン。何にでも噛みつく、お行儀の悪いブルテリアのフリッツは、散歩中に首輪を抜けて脱走してしまう。アランは犬を追い、つたに覆われた庭園に入り込む。戸口に「ぜったいに、なにがあっても、犬を庭園の中に入れてはいけません 引退した魔術師・アブドゥル・ガサツィ」と注意書きの札が立てられていたにもかかわらず…。

 フリッツを探すアランは、庭の奥の立派な屋敷でガサツィさんと出会う。犬嫌いの彼は、屋敷に入ってくる犬を魔法でアヒルの姿に変えてしまうという。アランはガサツィさんに「これがフリッツだよ」と一羽のアヒルを差し出される…。

 不思議な庭園に迷い込んだ少年と犬、いったいどうなる??訳は村上春樹さんです。

 

  

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