ヤングアダルト(YA)の本

 

 

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 YA(ヤングアダルト)とは、13歳〜18歳くらいの若者を表す言葉です。その世代に人気のある本や、触れてほしい名作、生き方や進路に悩んだときに参考になる本、趣味の本など、様々な分野の本を選んでいます。中高生の読書推進を目的としていますが、大人の方も楽しめるコーナーです。

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 『風の靴』 

  朽木 祥//講談社//F-ク

  

 中学受験に失敗し、兄と同じ学校に進学できなかった海生。どん底の夏休み、追い打ちをかけるように祖父の急死の知らせが入る。ヨットの楽しさを教えてくれた、憧れの海の男。大好きなおじいちゃんには、もう二度と会えない。

 何もかも嫌になり、海生は親友の田明(でんめい)、愛犬ウィスカーと共に家出を決意する。行き先は海。おじいちゃんの形見、A級ディンギー(帆付きのヨット)ウインドシーカー号に乗って。

 田明は家出というより冒険気分だが、朗らかで心優しい友と計画を練るのは楽しかった。しかし決行の日、田明の妹、八千穂に作戦がバレてしまう。自分も仲間に入れなければ家族に言いつけると脅され、仕方なく3人と1匹で海へ出ることに。

  陸を離れると悩みは遠くなっていく。ヨットが軌道に乗った頃、3人は波間にサーフボードの上でぐったりしている人を見つける。バランスに気を付けヨットに引き上げたのは、陰のあるイケメン大学生、風間譲だった。

 ヨットの操縦に長けた風間が加わり、心強くなった海生たちの船は加速する。目指すは、おじいちゃんとの思い出が眠る秘密の入り江。

  最低の夏を変えるのは、自分しかいない。自分たちで釣った魚や貝、ねこじゃらしのポップコーン、缶詰の晩ごはん。満天の星空。親友の瞳に映るキャンプファイヤーの炎。そして隠されていた、おじいちゃんからの手紙…。

 手にした最高の思い出は、永遠の宝物になる。劣等感で縮こまっていた心を、大きく成長させる冒険の物語。

 

  

 

  

 

   

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 『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』

 ヨシダ ナギ//扶桑社//294 

  

 幼少期からアフリカにあこがれ、将来の夢は「マサイ族」だった著者。英語が話せず人見知りのため、アフリカ旅行に付き合ってくれる友達を探していたが見つからず、このままでは一生アフリカには行けない!と一念発起。たった一人で日本を飛び出した。

 最初に訪れた国はエチオピア。ほとんど他国に支配されたことのないこの国は、近代文明に染まらない生活を送る少数民族が数多く暮らしている。

 ツアー旅行ではない一人旅は早々からトラブルがてんこ盛り。まず困ったのは、現地のガイドとのコミュニケーション。ヨシダさんが話せる英語は「Hello!」「I'm fine!」「Hungry」「Sleepy」レベルだったからである!「何かしゃべれよ」と言い続けるガイドに向かって披露したのは、唯一出来る「&ロ愛子の顔真似」。とたんに彼は大爆笑(もちろん&ロさんのことは知らない。と言うか、今時の若い人も知らない)。笑顔が国境を越えた瞬間だった。

 その後の順応は早い。ゴキブリだらけのホテルにも、泥水で入れられた紅茶にも、素っ裸で浴びる野外シャワーにも、たくましく慣れていく。そしてナミビアではついに、体に赤土を塗りたくり、あこがれの少数民族の衣装を着させてもらう。(でも、貧乳をめちゃくちゃ笑われる。)

 彼女の撮る写真は、エイズや貧困などのマイナスイメージを抱かせない強く美しいアフリカの素顔を切り取っている。あっというまにアフリカが大好きになってしまう一冊。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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  『ウソつきとスパイ』

 レベッカ・ステッド//小峰書店//93-ス

 

 父さんが会社をクビになり、家を売ってアパートに引っ越してきた13歳のジョージ。新しいアパートの地下室に「今日は、スパイ・クラブのミーティング!」と書かれた貼り紙を見つける。指定の時間にミーティングの場所である地下の一室を訪れたジョージは、そこで同い年の少年セイファーとその妹キャンディに出会う。

 セイファーは自称スパイ。ジョージたち家族の真上の部屋の住人、ミスターXの悪事を暴くため、日夜スパイ活動をしているという。

 こいつはどうやらおかしなヤツらしい…、と思っていたはずなのに、いつのまにやらセイファーにのせられ、偵察、鍵開け、秘密の合図などスパイとしての特訓を重ね、彼の相棒として協力してしまうジョージ。

 ミスターXっていったい何者?セイファーとキャンディにもなんだか秘密がありそう。それにタイトルのウソつきって誰のこと?

 謎解きのヒントはジョージの家のリビングに飾られたスーラの絵画。小さな点の集合でモザイクのように描かれている。近くで見ると輪郭がぼやけてなんだかよくわからないが、少し離れて眺めると、美しい公園の絵。

 ジョージの母さんはスーラが大好き。「これくらいの悲しみなんて、スーラの大きな絵の中のたったひとつの点みたいなもの。」とか「人生も点と同じ。少し離れて全体を見ると、その意味が見えてくる。」などと言う。

 小さな点のようにちりばめられた謎をつないで、スパイは何を見つけるのか。

  

 

 

 

 

 

 

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  『君が電話をかけていた場所』

  三秋 縋//KADOKAWA//F-ミ

  

 生まれつき顔の右半分に大きな痣がある陽介。それは成長とともにコンプレックスになった。喧嘩早い性格も相乗し、中学時代は大いに荒れた。

 卒業の日、陽介が前を通るのを待っていたかのように鳴り始めた公衆電話に出たことから、物語は動き始める。受話器の向こうの見知らぬ女は言った。「諦められない恋が、あなたにはあるはずです。」と。イタズラと思い電話を切った陽介だが、頭の中は初恋の少女、初鹿野唯(はじかの ゆい)のことでいっぱいだった。

 三か月後、高校への初登校の前の晩(春休み中に他校の生徒と喧嘩をし、ケガで入院していたのだ)、陽介はもう一度公衆電話のベルに呼ばれた。受話器を取ると、三か月前と同じ人物だった。

  彼女は「恋を諦めたのは、痣のせいではなかったか」「痣さえなければ、ひょっとして、と思わなかったか」と、陽介の内心を言い当てた。そして彼女は賭けを提案する。「では、実際に痣を消してみましょう。」「その結果、初鹿野さんの心を射止めることができれば、賭けはあなたの勝ちです。」

  次の朝、陽介の顔から痣が消えていた。今までと全く違い、初めて会う同級生と普通に話すことができる。学年一可愛いクラスメイトの千草とも友達になれた。

 ひょっとしたら、自分はまともに生きられるかもしれない。そう思った矢先、陽介は下校途中に自殺未遂の現場に遭遇する。助けた少女の首にかかった縄をほどいた瞬間、それが初恋の相手唯であることに気がついた。そして息も忘れるほどの衝撃を受ける。かつて輝くような笑みがあふれていた彼女の顔には、大きな痣があったのだ。

  僕たちは年齢の数だけ夏を経験することになる。これは、僕の人生でもっとも暑かった夏の話。

 

 君が電話をかけていた場所』  『僕が電話をかけていた場所

 

 

 

 

 

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 『標本BOOK』

 さとう かよこ//日東書院本社//460

 

 「標本づくり」と聞けば少し構えてしまいますが、切り花、拾った石や貝殻、鳥の落とし羽根でもいい、と言ってもらえるとコレクションしてみたくなります。お部屋に飾ったり、友達に自慢したり、一人でうっとり眺めたり…。モノには楽しかった思い出や幸せな記憶、愛情が詰まっています。身の回りにある愛すべきものたちを、より永く美しく保存し、楽しむための「標本」。

 初級編のドライフラワーや押し花の作り方から丁寧に、上級者向けの昆虫の標本はもちろん、永遠の憧れ、植物樹脂の中に植物や昆虫を閉じ込める「人工琥珀標本」の作り方まで教えてくれています。

 ちょっとお洒落な科学研究にも使えます。

 

  

 

 

 

 

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 『ぼくが死んだ日』 

 キャンデス・フレミング//東京創元社//933-フ

 

   深夜のタクシーを呼び止める髪の長い女性。運転手は不審に思いながらも黙々と車を走らせる。しかし目的地に着いた時には女性は姿を消し、座っていたシートがぐっしょり濡れていた…。というのはスタンダートな現代の怪談。この物語もまさしくそんなシーンから始まる。

 深夜。門限を大幅に破ったことを気にしながら、16歳のマイクはシカゴの郊外を走っている。(アメリカではほとんどの州で14〜16歳で自動車の運転免許が取れるらしい!)そんな時、真っ暗な路肩に同い年くらいの女の子がたたずんでいることに気づき、心配になって車を止める。ワンピースから水を滴らせる彼女の名前はメアリアン。

 車に乗せたメアリアンに導かれ、マイクが足を踏み入れたのは10代の子どもたちだけが眠る、忘れ去られた墓地。メアリアンは湖で事故にあい、すでに亡くなっていたのだ。彼女はマイクに「自分が亡くなった時のことを聞いてほしい」と言う。彼女だけではない。いつの間にかマイクの周りには少年少女の幽霊たちが「話を聞いてほしいと」押し寄せていた。

 1800年代前半から2012年まで、さまざまな年代に生きた彼らが語る「自分が死んだ日」のこと。それをマイクに伝える本当の意味とは…。

 怪談ファンにはたまらない、古典怪談へのオマージュも込められています。

 

 

 

 

 

 

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  『美雨13歳のしあわせレシピ』

 しめの ゆき//ポプラ社//91-シ

 

 入学したての中学は、少し居心地が悪い。一緒にお弁当を食べるグループにもなじめていない気がしている美雨。

 ある日家に帰ると、お母さんではなくお父さんが台所に立っていた。しかもあんまり料理上手じゃなかったお母さんと違って、本格的な家庭料理を作り上げるお父さん。どうやらお母さんが家出をしてしまったらしい。さみしいし、お母さんが心配だし、無口でとらえどころのないお父さんと二人きり…。

 たった三人だけの家族。それなのにどうしてうまくいかないんだろう。

 うちも学校も、不安なことが増えていく美雨に、お父さんは初めて自分のことを話してくれた。お父さんが子どもの時に両親が亡くなったこと、今の会社に入る前は料理人として働いていたこと、そこで音楽学校に通っていたお母さんと出会ったこと、二人の恋愛と結婚のこと。そして、どうしてお母さんが出て行ってしまったのか。

 ゆっくりと絆を深めていく親子は「お母さんをとりもどそう!」と約束する。でも少しだけ前向きな気持ちになれたのに、学校ではグループ内でのケンカや小さないじめが…。

 うちに帰って、ごはんがあるのは当たり前じゃない。作ってくれている誰かがいるから、温かく湯気の立つ料理を食べることができる。

 おいしいね、と言い合いながら食べることの幸せを、優しく教えてくれる物語。

 

 

 

 

 

 

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 だれにも話さなかった祖父のこと

 マイケル・モーパーゴ//あすなろ書房//93-モ

 

 幼い頃から「おじいちゃんをじっと見つめてはいけない」と母から言いつけられていたマイケル。しかし、祖父を見ずにはいられない。彼の片手は3本の指が半分しかなく、もう片方は親指だけ。顔にも大きく火傷の跡が広がり、上唇と片耳がなかった。でもそれだけではない。戦争は祖父の顔や身体だけではなく、祖父と家族の心も大きな傷を残していた。

 12歳の夏休み、初めて一人で祖父の住む島を訪ねたマイケルは、そこで戦争の話を聞く。

 祖父は言ってくれた。「おまえはわしを見てくれる。そこが好きだよ、マイケル。たいていの人は見ない。おまえは、ききたくてたまらなかった。知りたくてたまらなかった。そうだろう?なんでこうなったのか…」

  戦争により失われてしまった家族の絆を、戦争を知らない少年がもう一度繋ぐ。語ることで癒され、知ることで成長する人々の心を描いた作品。

 

 

 

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 『真夜中の鐘がなるとき 宝さがしの13の話』

 オトフリート・プロイスラー//小峰書店//94-プ

 

 ドイツを代表的する児童文学作家、オトフリート・プロイスラー。有名な作品は『大どろぼうホッツェンプロッツ』シリーズや『クラバート』。ワクワクするような冒険物語を生み出す一方で、昔話を伝承する優れた語り部でもありました。

 この『プロイスラーの昔話』は全3巻。それぞれのテーマに分けて13ずつの短い物語を収録しています。日本の昔話に似ているものがあったり、このパターンは…!というお決まりの流れがあったり、どこか懐かしい気持ちにさせられます。

 面白いのは、すべてのお話の前に短く添えられたプロイスラーさんの言葉。例えば「みつけて、消えた宝物」の前には

 「運がいいと思った瞬間に、人間の目はみえなくなり、耳も聞こえなくなるものです。親切心からの助言を聞きもらしてしまったり、ちょっとしたことをみすごしたり、最後の瞬間にうっかりまちがいをおかしたり…。それだけで、宝物は永遠に消え去ってしまいます。」

              (『真夜中の鐘がなるとき』p.12より)

 

 なるほど、どこの国の昔話にも、教訓が込められているようです。腕利きのストーリーテラーがノスタルジックなドイツの世界へと誘います。

 ↓↓こちらはちょっと怖い2冊。↓↓

 地獄の使いをよぶ呪文 悪魔と魔女の13の話

 『魂をはこぶ船 幽霊の13の話』

 

 

 

 

 

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  『キツネとねがいごと』

 カトリーン・シェーラー//西村書店//P-シ

 

 年を取って動作が鈍くなったキツネだけれど、まだまだ知恵は働く。ある日、わなにかかったイタチを食べようとしたところ、イタチは自分を助けてくれたらなんでも願いごとをかなえてあげる、と命乞いをしてきた。

 イタチは魔法が使えるという。キツネはイタチを逃がし、代わりに「りんごの木に登ったものを木にくっつけてしまうように」と魔法をかけてもらう。

 りんごをひとり占めできるようになり、ご機嫌なキツネ。しかしそこへ死神がやってくる。キツネを「お迎え」に来たらしい。怖くなったキツネは得意の悪知恵を働かせ、死神をリンゴの木にくっつけてしまう。

 「これでおれは死ぬことはない!永遠に生きるんだ!」と大喜び。

  そんなキツネを、死神は木の上からほほ笑みながら見守る…。

  ちょっと不思議な二人の関係。さて、永遠に生きるキツネが、その後どうなったかというと…。

  ここに登場する死神は、全身タイツみたいな白いフードをすっぽりかぶったキツネ。黒いフードに骸骨、手には大きな鎌、というおどろおどろしい姿ではない。穏やかに語り掛け、優しいまなざしで生きるものたちを見つめている。

 

 

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